わかりやすい年金制度の仕組み まとめ【老齢・障害・遺族】

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社会保険のひとつ、年金保険についてのまとめです。

毎月払っている年金保険料は、「歳をとる」ということに対する保険で老後にお金がもらえますが、なかなか複雑な仕組みで成り立っています。

ややこしい部分は省いて、少しだけ詳しく見ていきましょう。 

 

年金の全体像

日本の年金制度は、国民年金を基礎とした3階建ての構造となっています。

 

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3階部分には、退職金や確定拠出年金などが含まれます。

 

保険料

毎年引き上げられてきましたが、平成29年9月以降は固定されることになっています。

 

厚生年金保険料は、給与やボーナスから計算された額を会社と半分ずつ支払います。(労使折半)

 

国民年金保険料の納付期間・割引

厚生年金は会社がやってくれているはずなのであまり関係ありませんが、

第1号被保険者の国民年金は、原則として翌月末日までに保険料を納付しなければいけないことに注意が必要です。

口座振替もしくは、半年分、1年分、2年分のいずれかを前納することができ、その場合は割引があります。毎月納付と比較して、最大約15000円お得になります。

また、どの期間の前納でもクレジットカードで支払い可能になりました。

 

保険料を滞納してしまっても、過去5年分の追納が可能となっています。(平成29年現在)

 

保険料の免除と猶予(第1号被保険者のみ)

一定の条件の人(払えない事情がある人)は、保険料を払うことが免除または猶予されます。

この期間の年金については、10年以内なら払えるようになったときに払うことができます。

これは払っても払わなくてもいいのですが、受け取る年金額に反映されるため、払っておいた方が多くもらえることになります。

以下、その条件です。

 

法定免除

障害年金を受給している人や生活保護を受けている人は、全額免除

 

申請免除

経済的な理由で(所得が一定以下)で納付が困難な人は、

  • 全額
  • 4分の3
  • 半額
  • 4分の1

のいずれかが免除。

 

学生納付特例制度

20歳以上で所得が一定以下の学生は、申請によって保険料の納付が猶予されます。

 

若年者納付猶予制度

30歳未満の第1号被保険者で本人および配偶者の所得が一定以下の人は、申請によって保険料の納付が猶予されます。

 

年金額の改定

物価や賃金を考慮して毎年年金額は変わります。

景気が良くなり物価が上がれば、受け取れる年金も増えますが、景気が悪ければ年金は減ります。

ここはややこしくなるのでさらっと流します。

 

公的年金の給付

  • 老齢給付
  • 障害給付
  • 遺族給付

の3つがあります。

字を読めばだいたいどんな時にもらえるかわかりますね。

年金は原則として、受給者が死ぬまで偶数月の15日に2ヶ月分が支払われます。

 

老齢給付 

国民年金の老齢給付 

俗に言う「年金」です。 

保険料を払った期間(免除期間含む)が25年以上の人が、65歳以上になったらもらえます。

またこの25年にはカラ期間といって、海外在住などで年金を払う義務がなかった期間も含みます。

そして平成29年度から年金を受け取れる条件である25年が、10年に短縮される予定です。

 

年金額

2016年4月時点で、年額780,100円(満額)です。

納付期間が短い場合少なくなりますので、40年×12ヶ月=480ヶ月で割ると計算できます。

 

厚生年金の老齢給付

年金支給開始年齢が引き上げられたことによって、現在50代後半の人については、64歳までに段階的に支給がある場合もありますが、それ以下の年齢の人は一律65歳からの支給となっています。

ですので、この先65歳からの支給という前提にします。

 

国民年金を受け取れる条件(受取資格期間25年以上)に加えて、厚生年金の加入期間が1ヶ月以上あることが必要です。

 

年金額

ちょっと複雑な計算をしますので、省略します。

厚生年金は給与が高いほど、毎月支払う額も多くなります。

そして、払ってきた金額が多いほどもらえる金額も多くなります。

 

加給年金

65歳になったとき、年下で専業の配偶者や高校生(18歳になって最初の3/31)までの子どもがいる場合、年金の家族手当のようなものをプラスで受け取れます。

 

在職老齢年金

65歳以上でも働いていて、給与 + 年金額が月額47万円以上ある場合、年金額が減額されてしまいます。

 

繰り上げ受給と繰り下げ受給

年金受給開始は65歳ですが、60〜64歳で受給すること(繰り上げ受給)や、66〜70歳で受給すること(繰り下げ受給)もできます。

 

繰り上げ受給

長い期間受け取れることになるので、繰り上げた月数 × 0.5%分、年金額が減ります。

 

繰り下げ受給

受け取れる期間が短くなるので、繰り下げた月数 × 0.7%分、年金額が増えます。 

 

離婚しても半分はもらえない

夫婦間の合意があれば、婚姻期間中の”厚生年金”を最大2分割することができます。

割合は夫婦間で決めることができます。

 

この制度の勘違いしやすいところは、企業年金は対象外というところです。

つまり3階建の2階部分だけということです。(国民年金基金は含まない)

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自営業だった場合、分割はありません。

 

平成20年5月以降は、夫婦間の合意がなくても分割できるようになりましたが、この場合は平成20年4月以降の第3号被保険者期間(扶養されていた期間)の厚生年金が分割できます。

たとえば平成29年4月に離婚して、分割について夫婦間の合意がなかった場合、9年分の厚生年金しか分割できません。

 

というわけで、離婚しても年金の半分がもらえるわけではないということになります。

 

障害給付

障害基礎年金

1級と2級があります。国民年金の被保険者が受け取れます。

障害等級1級または2級に該当することが条件です。

 

また、保険料を納めた期間と免除されていた期間の合計が全被保険者期間(年齢−20)の3分の2以上であることが原則です。

原則の要件を満たさない場合は、直近1年間に保険料の滞納がなければOKです。

 

1級の年金額

780,100円 × 1.25 + 子の加算額

 

2級の年金額

780,100円 + 子の加算額

 

子の加算額とは、第1子、第2子は224,500円、第3子以降は74,800円です。

 

障害厚生年金

1級、2級、3級と障害手当金があります。

厚生年金の被保険者が対象です。

障害等級1級、2級、3級に該当することが条件です。

 

必要な保険料を納める期間は、障害基礎年金と同じです。

 

年金額

かなりややこしい計算なので省きます。

1級の方が多くもらえるのは障害基礎年金と同じです。

障害手当金は一時金でもらえます。

 

遺族給付

遺族基礎年金

死亡した人に生計を維持されていた子ども、または子どものいる配偶者が受け取れます。

 

保険料を納めた期間と免除されていた期間の合計が全被保険者期間(年齢−20)の3分の2以上であることが原則です。

原則の要件を満たさない場合は、直近1年間に保険料の滞納がなければOKです。

 

金額は、780,100円 + 子の加算額

子の加算額とは、第1子、第2子は224,500円、第3子以降は74,800円です。

 

また、第1号被保険者独自の給付として、寡婦年金または死亡一時金のどちらかを選んで受け取ることができます。

 

遺族厚生年金

死亡した第2号被保険者に生計を維持されていた

  1. 妻・夫・子
  2. 父母
  3. 祖父母

この順で誰かが受け取れます。

 

金額はややこしい計算ですが、生きていればもらえるはずだった額のだいたい半分くらいです。

 

子どもがいる場合は、プラスで遺族基礎年金額ももらえます。

その子が18歳になって遺族基礎年金が打ち切られると、中高齢寡婦加算(経過的寡婦加算)に切り替わります。

 

まとめ

基礎年金は簡単でも、厚生年金の計算がややこしい!

要するに、納めてる額が人それぞれなので、もらえる額も人それぞれということです。

どんなときにもらえるかだけ、覚えておくといいと思います。

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